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NDSコラム

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テクノロジーを活用した介護ロボットやICTが介護業界を救う?

2020/10/23

介護業界は依然として人手不足感が強く、現場で業務にあたる介護職員の負担は高まるばかりです。令和3年の介護報酬改定に向けて協議された「社会保障審議会介護給付費分科会」では今現在の介護業界の情勢を踏まえ介護職員の定着率の向上や業務負担の軽減が必要であるといった意見が多く出ており、中でも介護ロボットやICT機器といったテクノロジーを活用した環境改善を行うべきであるとの方向性が強く押し出されました。

次回の介護報酬改定が介護業界にどのような恩恵をもたらすのか注目です。今回は「第186回社会保障審議会介護給付費分科会」から介護現場の環境改善にテクノロジーを活用するべき理由と活用例について解説します。

介護業界の人材不足感は強いまま

介護業界は常に人材不足が悩みの種となっています。以前から介護業界は景気が低迷してくると人材が流れてくる傾向があり、リーマンショックの影響を受けて2009年に過去最大の失業率を記録した際は介護業界の有効求人倍率は1.82倍で比較的多くの人材が介護業界への就職を希望していましたが、その後失業率の低下に比例して介護業界全体で有効求人倍率は上昇し続け、令和元年には4.2倍となっています。対して要介護者は年々上昇を続けており介護業界の人材不足はますます深刻な問題となっています。
介護業界で人材が不足している大きな理由が「採用が困難」であることと「職員が定着しない」こととされています。採用が困難であることは有効求人倍率が上昇し続けていることからも明らかであり、介護業界に人材が流れてこないこと、介護業界に就職を希望する人材が少ないことが大きな理由として考えられます。
そして、せっかく介護業界に就職したにもかかわらず「定着しない」ことも大きな課題です。求人が多くない状況では、職員に定着してもらうことが何よりも重要なのですが平均勤続年では全世代を通じて10年以下であり、特に30歳までの世代は2~4年程度です。したがって介護業界の職員は若い世代が少なくなっていることが現状です。若い世代も含めていかにして人材を確保し、定着させていくかが今後の介護業界の取り組むべき重要な課題となるでしょう。

求められているのは「やりがい」

なかなか人材が定着しにくいとされた介護業界ですが、世間のイメージは「賃金が安いわりに重労働」であることが根強くあります。しかし、介護の仕事を辞めてしまう人たちの多くは順に「業務に関連する心身の不調(腰痛を含む)」「法人・事業所の理念や運営の在り方に不満があった」「職場の人間関係に問題があった」と答えており、賃金が安いことが直接的な原因ではないことが多いのです。
これには介護職の処遇改善のための施策である「処遇改善加算」などで介護職員の賃金を上げ、処遇を改善しようという動きも関係しています。事実多くの介護職が待遇の改善を実感しており全産業に比べるとまだ低い水準ではあるのですが、その差は年々狭まっています。

勤続にあたり重要なことを質問したアンケートによると「仕事へのやりがいがあること」が一番多く、その他は「能力や業務内容を反映した給与体系」「上司や同僚等を含めた職場全体の雰囲気がよいこと」「ワーク・ライフ・バランスに配慮した勤務体制」「休暇取得のしやすさ」が多く挙げられました。多くの介護職は仕事に対してのやりがいを感じられることが重要と考えており、賃金が安いことではなく能力を正当に評価してほしいと考えているともいえます。そして職場の雰囲気の良さ、仕事とプライベートのバランス、休暇の取りやすさが重要だという意見はそのまま「職場のコミュニケーション不足」「業務負担の大きさ」「人材不足」が背景にあると考えられます。これらが介護職の「やりがい」を感じにくくさせているのかもしれませんね。

業務の効率化とコミュニケーションの円滑化が必要!

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介護業界全体の人材が定着しない理由に挙げられた「やりがい」を求めていくためには職員間のコミュニケーションが円滑であり、そして業務の負担を効率化して適切な仕事量にすることで勤続できるようアプローチを図っていくことが有効と考えられます。これらを改善できれば介護の仕事へのやりがいにも繋がり若い世代を含む様々な人材が定着することが期待できます。
しかし、限られた人員の中でコミュニケーションを取りつつ業務負担を軽くしていくことは現実的ではありません。いわば人材定着のための方法を取りたくても人員が足りないため実行できない環境であるという負のスパイラルに陥っているのが今の介護業界の実際のところでしょう。この現状を打破するためには抜本的な環境整備が必要になります。

カギとなるのはテクノロジーの活用

これからの介護職の確保ために重要視されているのがテクノロジーを活用した介護ロボットやICT機器を用いた環境整備や業務改善です。介護ロボットを用いることで日常の身体介護の負担を減らす、ICT機器を活用して介護記録等の情報をデジタル化することで業務にかかる時間を減らす、見守りセンサーを用いて利用者を遠隔で確認できるようにするなど介護職の負担を大きく減らすことで心身の安定を図ることができます。
さらに離れた場所でも報・連・相を行え、職員間で共有できるインカムを用いれば職員間のコミュニケーションが円滑に行え、職場の風通しを良くすることに大きく繋がります。これにより職員の精神的な負担の軽減に大きく繋がるため、職員間の連絡手段としてインカムを導入することは非常に効果的といえます。導入には補助金が出ており、実際にパイロット事業における取り組みで、情報共有が効果的に行えることで業務が効率化され、利用者のケアにあたることができる時間が30%増加するといった効果が出ております。

もう一点重要視されているのが「書類の簡素化」です。介護業界は契約書や重要事項説明書などのサービス利用に必要な書類から施設ケアプラン、居宅介護計画書、居宅療養管理指導ケアプランなど利用者のサービスに係る計画書など非常に多くの書類を必要とします。これらの書類をすべてICTでデジタル化し、押印などを省いていくとともに内容を簡素化して文書量を半減していくことが検討されています。新型コロナウイルスの影響もありテレワークなど非対面方式が増える中、介護業界においても対面を極力減らしながら内容を簡潔にしていこうという流れが起きているのです。書類が簡素化されることで利用者へのケアを提供できる時間ができ、さらにその情報を職員間で共有しやすくすることで結果的に業務の質を向上させることができます。業務の質が上がることは介護職のやりがいに大きく繋がり、人材の定着やテクノロジーに慣れた若い世代の確保も期待できます。
テクノロジーの活用は介護業界の諸問題を解決するとともに生産性を向上させるという大きな可能性が期待されているのです。

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テクノロジーを活用した事例とは

スマートフォン一台で1日17時間の業務削減

介護施設において夜間の見守りを、ICT機器を用いたベッドセンサーで管理し情報をスマートフォンで確認、ナースコールは連動させたスマートフォンで受け、介護記録など必要な記録もすべてスマートフォンで行うとともにナースコールの記録は自動で記録することで夜間の巡視の廃止と介護記録にかかる時間の大幅削減を図り業務を効率化し、最大で17時間の業務削減に繋げることができます。

さらに夜間の見守りセンサーを活用することで利用者の安眠に繋がり職員の大幅な負担軽減に繋げたことで夜間職員の人員数を減らすことができた介護付きホームテクノロジーの例もあり、介護施設の業務の多くがテクノロジーにより大きく改善することが分かります。

介護ロボットの活用で職員の腰痛を大幅に軽減

高知県では介護職の仕事上の悩みの多くに「腰痛」が挙がることを受け持ち上げない介護のための機器の導入や介護ロボット、ICT機器の導入を積極的に支援してきました。
その結果導入した事業所において腰痛を訴える職員が6か月平均で25.9%減少しました。
腰痛は日常生活にも影響を与え、介護職の大きな悩みとなる問題です。それが軽減されることは介護の仕事を続けていく自信にもなり、仕事へのやりがいも感じることができるでしょう。

イヤホン不要のインカムで迅速な情報共有が可能に

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従来のインカムはレシーバーが必要であったりPHSなどを別に持ったりなど使いにくいものでした。イヤホンが必要なものもあり、長時間耳に付けていることで痛くなる、身体介護の邪魔になるなどの問題がありました。
弊社の「ほのぼのTALK++」はiPhoneをインカムとして使うことでレシーバーなども不要となるため便利かつ軽量に使えるインカムとしてご好評をいただいております。
さらに首にかけるタイプのスピーカーである「ネックスピーカ」の提供を開始しました。ネックスピーカーはiPhoneとBluetoothで接続することでワイヤレス化を実現し、ボタン一つで通話できるため手が塞がる、イヤホンの配線が邪魔になる等の問題が解決しました。また、長時間イヤホンを耳に装着することで痛くなることがなくなりさらに便利に使えるようになりました。また、非常に軽量なため長時間の使用による疲れなどは大幅に軽減されます。装着者が聞き取りやすいように形状が設計されており、にぎやかな環境であっても通話に困りません。話した内容は文字としてチャットに残されるため聞き逃した話や覚えておきたい話も確認でき、業務の質を向上させることに大きく繋がります。

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まとめ

介護業界における人材不足と離職の高さは改善すべき課題として長年出続けていましたが、明確な解決策には至っていませんでした。しかしテクノロジーの進歩により介護ロボットによる介護負担の軽減やICT機器を活用した介護記録のデジタル化、見守りセンサーによる業務負担の軽減、デジタルインカムによる情報共有の最適化が可能になるなど介護業界の悩みを解決する手段として国からも大きな期待が寄せられています。介護人材の確保に加え業務の効率化を図る評価項目として今後の介護保険の改正に加えられることも十分に考えられます。導入には補助金が出ますので人材の確保と定着、質の高い介護のための業務適正化のために介護テクノロジーの活用を積極的に検討していきましょう!

参考URL:
令和3年度介護報酬改定に向けて (介護人材の確保・介護現場の革新)

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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