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新型コロナウイルスのワクチン先行接種:接種時期や手順の解説

2021/03/09

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい日本においても私たちの生活や経済に大きな影響を及ぼしました。必要な医療体制の確保や介護事業所の感染予防策に努めるなか、2021年2月より待望の新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されました。しかし必要な医療器具やワクチンの供給体制はまだ完全には確保できておらず、ワクチンを接種できる人や業種には優先順位が設けられています。介護が必要な高齢者や介護従事者がワクチン接種を受けられる時期はどれくらいを想定しているのかを見てみましょう。

2021年2月から新型コロナウイルスのワクチン接種開始

新型コロナウイルス感染症は未だに世界中を混乱に陥れており、有効なワクチンの開発が急務となっています。その中でアメリカのファイザー社ワクチンの有効性が認められるとともに国内においても使用が承認され、2021年2月17日から待望のワクチン接種が始まりました。(接種する日に16歳以上の方が対象です)しかし注射器などの医療器具や供給体制はまだ万全ではなく、全国民がワクチンを接種できるには時間がかかると見られています。

新型コロナウイルスワクチンの有効性

今現在、日本国内で使用が承認されているのはアメリカのファイザー社のワクチンです。このワクチンは、新型コロナウイルスの感染の発症を予防する効果があるとされており、その予防効果は約95%であるとの報告がされています。ワクチンが効果を発揮するためには2回の接種を受ける必要があり、2回目の接種から約7日後以降に効果が出るとされています。
しかし、まだ十分な臨床データが出揃っていないワクチンでもありますので詳細なデータはまだまだ不透明な部分も多く、ワクチンを接種したから大丈夫という認識ではなく常日頃からの小まめな手洗いや頻回に触れる箇所の消毒、密を避けるといった標準的な感染予防策に努めることが大切です。

高齢者や介護従事者のワクチン接種の時期

まだ供給体制が万全ではない新型コロナウイルスのワクチンは、接種するべき業種や対象者によって優先順位が設けられています。2021年2月から始まったワクチン接種は医療従事者等を対象とした「先行接種」です。医療従事者等が先行でワクチンを接種する理由として以下とされています。

・業務の特性として、新型コロナウイルス感染症患者や多くの疑い患者と頻繁に接する業務を行うことから、新型コロナウイルスへの曝露の機会が極めて多いこと
・従事する者の発症及び重症化リスクの軽減は、医療提供体制の確保のために必要であること

以上の理由から医療従事者等への接種を先行し、以後はワクチンを接種を優先するべき対象によって優先順位が設けられています。現在想定されている優先接種の順は下記の通りとされていて、2021年4月以降から順次接種を予定しています。

1.医療従事者等
2.高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
3.高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
4.上記以外の者に対し、ワクチン の供給量等を踏まえ順次接種
ワクチン接種,ICT化

高齢者以外で基礎疾患を有する方について

(1)
1.慢性の呼吸器の病気
2.慢性の心臓病(高血圧を含む。)
3.慢性の腎臓病
4.慢性の肝臓病(肝硬変等)
5.インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
6.血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)
7.免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。)
8.ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
9.免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10.神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
11.染色体異常
12.重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態)
13.睡眠時無呼吸症候群

上記の病気や状態で入院、通院している方と、
(2)
BMIの値が30以上の方が対象となることを想定しています。
BMIの値は下記計算式で算出できます。
BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
仮に身長170㎝、体重70㎏の場合BMIの計算は
70(体重)÷2.89(1.7m×1.7m)=24.22 となります。
供給量にもよりますが、介護従事者は優先順からすると基礎疾患を持つ方の次が想定されています。しかし、現段階で想定されている介護従事者とされる優先接種の対象は「高齢者等が入所・居住する」介護施設等に従事する職員を対象の範囲とされています。つまり特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅やグループホームなどの高齢者が居住する施設、そのほかには障がいの方が居住する障がい者支援施設や救護施設等に従事する職員が対象であり、対象の施設に従事する場合の職種は問いません。訪問介護や通所介護などの居住系以外の介護サービスに従事する介護職員等は対象ではないことに注意が必要です。

想定されているワクチン接種の手順

医療従事者等から順次新型コロナウイルスワクチンを接種していくスケジュールは現在以下を想定しています。

1.接種の時期より前に、市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届く
2.自身が接種可能な時期が来たことを確認する
3.ワクチンを受けることができる医療機関や接種会場を探す
4.電話やインターネットで予約をする
5.ワクチンを受ける際に、市町村より郵送される「接種券」と「本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)」を必ず接種時に持参する

ワクチンの供給量などの事情により対象者はさらに細分化される場合もあるとしています。現在先行接種が開始された医療従事者等と平行して高齢者を対象とした接種券と案内の郵送をし、高齢者への接種が開始されたことと平行としてそれ以外の方に接種券等を郵送する予定とのことです。高齢者施設に従事する介護職員は対象の利用者の接種券が届いたら接種の意思を確実に利用者本人に確認できるよう支援が必要となるでしょう。なお、ワクチンを接種できる場所は原則として住民票所在地の市町村(住所地)の医療機関や市町村が設置した会場での接種とされていますが、現在の住まいが住所地と異なる方や、介護施設に入居している方等の事情を踏まえ巡回型の接種なども想定されていますが、具体的な方法は未決定です。
ワクチン接種の手続き等については自治体により異なることが想定されますので、該当の自治体の広報やウェブサイトなどで常に情報を確認するようにしておくことが望ましいでしょう。

予防接種を受けることができない人、注意が必要な人

発症を予防するために早期の接種が望ましい新型コロナウイルスワクチンですが、状態により接種が望ましくないとされる場合があります。現在厚生労働省が提示している接種できない人は以下の通りです。

受けることができない人

・明らかに発熱している人(37.5℃以上)
※下回る場合でも平均体温を鑑みて明らかな発熱と判断される場合もあります。
・重い急性疾患にかかっている人
・本ワクチンの成分に対しアナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状過敏症の既往歴のある人
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人

注意が必要な人

・抗凝固療法を受けている人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分に対して、アレルギーが起こるおそれがある人
新型コロナウイルスワクチン接種前には医師による診察が必要となりますので、接種前の診察で上記に当てはまる方は必ず申し伝えるようにしましょう。また妊娠中である方や授乳中である方も必ずその事実を伝えるようにしてください。

ワクチン接種に関する今後の課題と介護事業所に求められる対応

新型コロナウイルスワクチンは未曽有の感染リスクに対応するために開発を急いだ経緯もあり、供給量が全世界でまだ十分ではありません。衛生的な接種を行っていくための注射器等の医療器具やワクチンの有効性を保つための冷凍装置といった接種するための器具もまだまだ不足している状態で、全世界で供給が追い付いていません。日本においても注射器の確保の問題などが懸念されており、安全かつ安定した供給体制の整備が待たれます。
また新型コロナウイルスのワクチンは発症に対して一定の有効性を認めているものの感染を予防するものではありません。介護事業所に入居する方々や介護従事者がワクチンを接種した場合でも一定の感染リスクは否定できません。ワクチンを接種したからといって新型コロナウイルスを予防する意識が薄れてしまうことがないよう介護事業所は消毒の徹底などで衛生的な環境を保ち、感染リスクそのものを減らしていく対応は今後も求められていくでしょう。さらにそのなかで介護事業所に入居する高齢がスムーズにワクチンを接種するためには、介護事業所の効率的な対応が求められます。
新型コロナウイルスワクチンは一定の有効性が認められるものの、接種は強制ではありません。しっかりとした情報の理解と、接種への同意が必須になります。介護施設に入居する方への接種については、介護従事者等による丁寧な説明と理解が求められ、その上で接種する意思を確実に把握していくことが必要となるため新型コロナウイルスワクチン接種に係る事務作業は非常に大きなものとなることが想定されます。それらの対応に追われ業務を圧迫することがないようにはICTの活用により業務の効率化を図り接種希望者の把握や個別への説明を終えているかを把握するための情報共有や事務作業の効率化が有効です。
NDソフトウェアでは「ほのぼのNEXT」で介護記録のICT化を支援いたします。情報管理の効率化を図ることで利用者様の健康状態やケア記録だけでなくワクチン接種の意思や説明の有無などの情報を効率的に把握できるようになるため事務作業の大幅な省力化に繋げることができます。「Care Palette(ケアパレット)」を活用することで利用者様へのケア記録やワクチン接種の意思確認等の特記事項をタブレット端末に簡単に入力できるだけでなく即座の情報連携が可能なため転記の必要がありません。また職員間の情報共有には「ほのぼのTALK++」が有効です。スマートフォンをデジタルインカムとして活用するため、離れた場所にいても音声と文字情報で報告、連絡や相談といった情報共有、連携が効率的に行えます。通話には首にかけて使用するデバイスである「ネックスピーカー」を使用しており、非常に負担が少なくなっています。
介護事業所様を利用する方々の確実なワクチン接種情報の把握に必要な事務作業を確実かつ効率的に行うためのサポートをいたしますのでぜひご相談ください。

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まとめ

2021年2月から開始された新型コロナウイルスのワクチン接種は、まず医療従事者等から先行接種が始まり、4月以降から高齢者、基礎疾患を持つ方、介護施設従事者という優先順位で接種が順次進められていく予定です。介護施設に入居する方々の接種の意思の確認やワクチン接種の説明には介護職員の対応が大変重要です。業務を圧迫してしまうことがないようICT化で適切な業務の効率化を図り、高齢者が自らの意思で確実にワクチン接種できるよう支援していきましょう。

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参考URL:
ファイザー社の新型コロナワクチンについて
新型コロナワクチン接種についてのお知らせ
接種順位の考え方
医療従事者等への接種についてのお知らせ

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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