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コンサルタント小濱道博先生の「経営をサポートするナレッジコラム」

令和6年度中にやるべき事

2024/07/01 カテゴリ: 介護保険法改正

令和6年度介護報酬改定も一段落して、運営指導の時期となっている。今後の指導を踏まえて、令和6年度中にやるべき事を再確認しておく。

LIFEの新システムへの移行

4月10日をもって、旧LIFEが終了した。8月1日から新LIFEがスタートする。そのため、5月から7月については、LIFE加算の算定要件であるデータ提供が出来ない。各月の評価作業は必須であるために実施する必要がある。提出待ちのデータは、8月1日から10月10日までの間で遡って提供することとなる。また、旧LIFEから新LIFEに自動的に引き継がれるデータは、様式情報、事業所情報、端末情報に限られる。職員情報、利用者情報、暗号化キーについては、手作業での移行が必要となっている。これらのデータの一部は、個人情報であることからの措置とされている。そのため、旧LIFEシステムのホーム画面から、個人情報入出力画面に移行して、介護サービス利用者データのバックアップを作成してダウンロードし、新LIFEにログインして取り込む作業が必要となっている。この作業は、遅くても7月30日までに終了する必要がある。それを実行しない場合には、8月1日以降に新LIFEを開いても利用者情報が真っ新で、改めて登録作業が強いられることになる。

財務諸表の公表の義務化

令和6年度介護保険法に於いて、介護サービス事業者経営情報を、所轄する都道府県知事に報告することが義務化された。提出をしない場合は、期間を定めて報告もしくは内容を是正することを命ずる。その命令に従わない時は、指定の取消もしくは業務停止の処分とされた。提出不要のケースは2つ示された。一つは、年間の収入が百万円以下の場合。一つは、自然災害などに被災して提出が困難な場合。それ以外は、提出が必須となる。提出する財務諸表は法人単位ではなく、事業所、施設毎となる。事業所毎の名称や所在地などの基本情報、収益と費用の内容、職種別の配置職員数などである。

公表で求められる財務諸表は、障害福祉サービス事業所等での報告事項を踏まえて、事業活動計算書(損益計算書)、資金収支計算書(キャッシュフロー計算書)、 貸借対照表(バランスシート)となる。(通知事項)公表は、原則として、介護サービス事業所又は施設単位となる。ただし、拠点や法人単位で一体会計としており、事業所又は施設単位での区分けが困難な事業者については、拠点単位や法人単位での公表を可能とするとされた。その際、公表対象が明確となるよう、会計に含まれている事業所又は施設を明記することが求められる。

提出方法は、情報提供のための全国的な電子開示システムとデータベースが整備され、情報公表システムへの提出となる。提出期限は、毎会計年度終了後3月以内に行うが、令和6年度は、年度末までに提出する。これは、提出のための公表システムの稼働が、年末にずれ込むことが予想されるための措置である。

感染症対策

令和3年度介護報酬改定に於いて、全サービスに感染症の発生及びまん延等に関する取組として、感染対策委員会の開催、感染症の予防及びまん延の防止のための指針、研修と訓練が義務化された。な3年間の経過措置が設けられていたが、令和6年4月から運営指導において確認される。未実施の場合は、運営基準違反の指導を受ける。

① 感染対策委員会の開催

感染対策委員会は、おおむね6月に1回以上の定期的な開催とともに、感染症が流行する時期等に必要に応じて随時開催する必要がある。 外部を含めて感染対策の知識を有する者を含み、幅広い職種により構成することが望まし。構成メンバーの責任及び役割分担を記した委員会名簿を作成して、専任の感染対策担当者を決めておく必要がある。

② 感染症の予防及びまん延防止のための指針

指針には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。平常時の対策は、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政などへの報告等を記載する。また、発生時における事業所内の連絡体制や関係機関への連絡体制を整備して明記しておくことが必要である。

③ 感染対策の研修と訓練の実施

研修の内容は、感染対策の基礎的な内容等の知識、指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行う内容とする。年1回以上、定期的に開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。終了後は研修記録を作成する。また、実際に感染症が発生した場合を想定して、発生時の対応についての訓練(シミュレーション)を年1回以上、定期的に行うことが必要である。訓練は、感染症発生時において迅速に行動できるように、発生時の対応を定めた指針と研修内容に基づいて、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施する。訓練の実施は、机上のシミュレーションを含めて、実施手法は問わない。シミュレーションと実地訓練を組み合わせて実施することが適切である。業務継続計画(BCP)における研修、訓練と合わせて実施することが可能である。

業務継続計画(BCP)

令和3年度介護報酬改定に於いて、全ての介護サービス事業者を対象に業務継続に向けた取組の強化が義務化された。業務継続に向けた計画等の策定(BCP)、研修の実施、訓練の実施等が必要である。研修の実施、訓練の実施において、定期的(在宅サービスは年1回以上、施設サービスは年2回以上)な研修と訓練を開催して記録しなければならない。

令和6年度介護報酬改定で設けられたBCP減算は、特例の適用を受ける場合は令和7年4月からである。しかし、減算の有無は介護報酬の算定要件に過ぎない。令和6年4月からの義務化は変わっていないため、今後の運営指導で未策定の場合、減算にはならないが運営基準違反で指導対象となる。それは、研修や訓練の未実施も同様である。

① BCPに基づく、研修と訓練の義務

解釈通知においては、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施において、定期的(在宅サービスは年1回以上、施設サービスは年2回以上)な研修を開催して記録しなければならないとされた。訓練(シミュレーション)は、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(在宅サービスは年1回以上、施設サービスは年2回以上)に実施する。

高齢者虐待防止措置

令和3年度介護報酬改定において、全サービスに義務化された。障害福祉サービスにおける対応も踏まえて、全ての介護サービス事業者を対象として、虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、専任の担当者を定めることが義務づけられた。令和6年3月までは経過措置期間であったが、令和6年4月より義務化されて、未実施の場合は運営基準違反として指導対象となる。同時に、減算も創設された。特例は福祉用具貸与のみであるため、未実施の場合は、この4月から1%の減算が適用されている。

① 虐待防止検討委員会

虐待防止検討委員会は、虐待等の発生の防止・早期発見に加えて、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会である。管理者を含む幅広い職種で構成する。役割分担を明記した委員会名簿を作成して、定期的に開催することが必要である。また、虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。

② 指針の作成と研修の実施

虐待の防止のための指針を作成する。研修内容は、虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識、指針に基づいて虐待の防止の徹底を行う内容とする。 職員教育を組織的に徹底させていくために、指針に基づいた研修プログラムを作成して、年1回以上の定期的な研修を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待防止の研修を実施することが必須となった。また、研修記録は保存する。専任の担当者を置くことが必要で、虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましいとされている。

介護認知症基礎研修の受講義務

介護職員として配置され、初任者研修修了者、介護福祉士、看護師等の医療福祉の資格を持たない職員は、配置した日から1年以内に、介護認知症基礎研修の受講が義務化となっている。

身体拘束の記録の義務化

訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、居宅介護支援については、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除いて、身体的拘束等を行ってはならない。やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、3原則を厳守した上で、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録することを義務づけられている。

コロナ禍特例が終了

この3月で3年弱続いたコロナ禍特例も廃止となっている。今後は、コロナ感染などを理由とした人員の欠員は、無条件で人員欠如減算につながっていく。コロナ禍3年間の間に介護業界に就労した職員は、コロナ禍特例が普通と思い込んでいる場合があるので、本来の通知の再確認と周知が急務となっている。

令和6年度運営指導対策と算定要件の変更の確認

毎年6月は、新年度の運営指導が本格的にスタートする月である。令和6年度介護報酬改定は、過去最大規模の改定となった。それは、変更項目が過去最大という意味でもある。人員基準、運営基準はもとより、既存の加算の多くが、算定要件の変更があった。前回改定辺りから、既存の加算の算定要件が変更となることが増えている。それまでの介護報酬改定では、基本報酬の増減と新加算の創設が主な内容であったため、新加算を算定しない場合は、特に日常業務の内容を見直す必要が無かった。改定内容にアンテナを張ることも無く、単に従来通りの業務を繰り返すだけで足りた時代があった。今は、自らセミナーに参加するなどして、最新情報にアンテナを張らないとならない時代となっている。入浴介助研修を行わずに加算算定を続けた事業所は、運営指導において返還指導を受けることとなる。

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