NDソフトウェア株式会社

コンサルタント小濱道博先生の「経営をサポートするナレッジコラム」

第11回【前編】LIFEの活用問題とICT化に潜むセキュリティ対策の重要性

2022/07/11

ランサムウェアの被害が介護施設にも波及している

令和4年3月8日長崎県警察本部の「もってこいネットワーク通信 第7号」において、長﨑県内の介護施設でランサムウェア被害が発生して、サーバー内のデータが暗号化された事件が発生し、セキュリティ対策を今一度見直すと共に、職員のセキュリティ教育の再徹底の依頼がされた。

ランサムウェアとは、いわゆるコンピュータウィルスである。このウィルスに感染すると、パソコンやサーバーに保存しているデータが暗号化されて使用できなくなる。データを復元する対価として金銭(いわゆる身代金)が要求される。さらには、データを盗んだ上、身代金を支払わないとデータを公開するなどの二重恐喝も発生しているという。令和4年4月に大阪府内の病院でランサムウェアによる身代金の請求があり、患者の電子カルテが使えない状況となったことが報道もされている。

では、身代金を支払ったらどうなるか。一般的には、何も改善しないことが殆どであるという。身近な所では、クレジットカード会社やAmazonなどを騙った指定のURLへのアクセスを促すメールが届いていないだろうか。利用後の本人確認であったりの内容で、思わずクリックしたくなる文面である。しかし、間違ってでもクリックしてはいけない。その時点から、パソコンのデータが外部に抜き取られてしまう。これらの防止のために、パスワードを強固なものに設定したり、アクセス権限を最小の範囲に限定することが重要だ。また、定期的なバックアップと、職員への研修も実施する。ICT化は時代の流れから避けては通れないし、更なる導入も急務だ。しかし、同時にセキュリティ・リスクが高まっていることを認識して対策を取らなければならない。

LIFEのフィードバックの問題点

LIFEは、5月30日のメンテナンスをもって、フィードバック票が暫定版から一歩前進したかに見える。約1年間続いた暫定版の集計値のみの提供からやっと脱却した。まだ、事業所フィードバックのみではあるが、事業所の集計グラフとLIFEの全国集計グラフが提供されるようになっている。2月提供分では科学的介護推進体制加算だけではあるが、今後は各区分の集計グラフが提供されて行くだろう。しかし、期待されている利用者のフィードバック票の提供は、年内は難しそうだとの声も聞く。今年度に入り、LIFEは4月1日から5月18日までの約一ヶ月、運営会社を東芝からNECに切り替えるために「お問い合わせフォーム」などがストップしていた。それを終えての5月30日のメンテナンスであったのだ。

しかし、5月30日から提供された事業所フィードバックは、半年前からLIFEにデータ提供していないと、全国値だけが表示されて、事業者のグラフ欄は空欄となる。また、科学的介護推進体制加算の提供月は最低でも6ヶ月に一度である。しかし、最低でも6ヶ月に一度とされており、中間月での新規利用者のデータや利用停止者のデータの提供等と共に、既存の利用者のデータも送るなど、それ以上の頻度でデータを提供する場合もある。この時、服薬や誤嚥性肺炎、褥瘡などの集計に於いては、中間月の送信情報が、直近月の集計に反映されるなどの、あり得ない数値になっていることが、5月30日に発出された留意事項に記された。他にも、昨年4月のLIFEスタート時に、提供データの提出猶予期間を設けていたが、この猶予措置を活用して、4〜7月のデータを8月10日までに一括して提出していた場合、7月提供データ以前のデータは集計に反映されず、集計対象の利用者総数の数値が実際と異なっている状態となっている。

例え暫定版であっても、加算に算定要件を満たす必要。

現状で、集計結果の信憑性が低い事もあって、LIFE関連の加算の算定要件であるPDCAサイクルへの活用については、「各事業所において、可能な範囲で御活用ください。」と留意事項に記された。しかし、PDCAサイクルへの活用を行わないと、今後の運営指導においてLIFE関連加算の返還指導となるので注意が必要だ。

PDCAサイクルへの活用とは、Plan(計画の策定)Do(サービスの提供)Check(LIFEへのデータ提供)Action(検討)のプロセスを廻し続けることである。LIFEに関連する全ての加算は、このプロセスを廻し続けることで算定出来る、プロセス評価の加算である。問題は、このAction(検討)の部分である。このプロセスは、フィードバック票をダウンロードして、多職種で共有し、検討し、必要に応じて、計画に反映させることである。如何に、フィードバック票が、現時点で不十分であり、可能な範囲で活用するとしていても、それが加算の算定要件である限りは、今後の運営指導で返還指導となることは免れない。そのために、フィードバック票をダウンロードして、多職種で共有し、検討した記録が必要となる。よって、多職種が参加するLIFE委員会や既存の委員会や会議の中で、フィードバック票を多職種で共有し検討することで、その要件を満たす。記録は、議事録等を残せば良い。

フィードバック票以外も多い、LIFE活用のメリット

LIFEの目的の一つが、ケアの質の向上にある。さらには、リハビリテーションなどの成果や結果を求めることも大きな目的である。しかし現実的には、単にLIFE加算を算定するだけにLIFEにデータを提供している介護施設、事業所も有るだろう。それは、まだフィードバック票が不十分なために致し方ない部分があることは理解できる。しかし、長い時間に於いて介護サービスを提供するなかで、利用者への気づきが減り、日常のサービス提供の中で、利用者を正面からしか見ていないことも多いのではないか。例えば、LIFEで科学的介護提供体制加算を算定する中で、Barthel IndexでADLを評価し、DBD13で認知症ケアを測定し、BMIや口腔ケアを評価する。これまで、これらの評価を実施して来なかった事業者も多いだろう。LIFE加算の算定が目的であったとしても、定期的に利用者の状況を評価する習慣が付くことは、介護業界全体の底上げに繋がる。また担当者が、直接にLIFEに入力することで、新たな気づきが生まれる。現時点でフィードバック票が不十分であっても、LIFEには、多くのプラス効果があると言うことだ。

 

後編こちら:第11回【後編】LIFEの活用問題とICT化に潜むセキュリティ対策の重要性

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