【業界トップシェア】介護・障がい福祉システムならNDソフトウェア

コンサルタント小濱道博先生の「経営をサポートするナレッジコラム」

第11回【後編】LIFEの活用問題とICT化に潜むセキュリティ対策の重要性

2022/07/26 カテゴリ: LIFE

前編こちら: 第11回【前編】LIFEの活用問題とICT化に潜むセキュリティ対策の重要性

国が主導で進むICT化の促進

今年4月より実地指導が運営指導と変更された。これは、直接に介護施設、事業所に出向いての対面での指導から、オンライン会議システムを活用した指導も可能となった事からの名称変更である。今後は、ZOOMなどのオンライン会議システムでの運営指導が実現するが、その前提として、施設・事業所の計画書や記録などが電子データで保管されていることが前提となる。すなわち、介護記録ソフトなどが導入されて活用されている場合のみが対象となる。ZOOMなどで画面共有するためには、書類の電子データ化が必須だからだ。

また、6月7日に閣議決定した「規制改革実施計画」では、ICT化促進の障害となっている自治体毎のローカルルールについて、国・地方が連携して、手続のデジタル化とともに、ローカルルールの見直しに向け対応策を講ずるべきであると記されている。厚生労働省は、「電子申請届出システム」を活用した電子申請化を進める。このとき、自治体によって異なる届出様式や独自ルールの存在が問題となっている。この中で、厚生労働省は、地方公共団体による独自ルールの明文化を徹底した上で、地方公共団体ごとの独自ルールの有無・内容を整理し、定期的に公表するとした。また、介護施設の入居者に対するケアの質の確保と介護職員の負担軽減・処遇改善を両立させるため、介護現場におけるデータ・ICT技術の利活用を推進するとして、職員の負担軽減・処遇改善にICT化が不可欠であるとの方向がより明確になっている。居宅介護支援へのケアプラン情報連携システムにも力が入っている。今後の介護報酬改定に於いて、処遇改善加算などの算定要件にICT化が組み込まれる時が来るかも知れない。

ICT化による基準緩和の方向の拡大

厚生労働省は、ビッグデータ解析、見守りセンサーなどのICT技術を最大活用していて、介護補助職員(地域の元気な高齢者)の有効活用等を行う先進的な介護施設、特定施設で実証事業を実施する。現在の職員配置の基準である3対1の配置を、4対1に緩和することを検討する。ICT化を進めることで、現行の人員配置基準より少ない人員配置であっても、介護の質が確保され、かつ、介護職員の負担が軽減されるかについてのモデル事業と検証を行う。この時、介護の質が確保については、LIFEのフィードバック票の活用などが想定されるとした。また、サービス付き高齢者向け住宅の人員配置基準も、ICT化を条件に見直しの検討に入っている。

そして、6月7日の閣議決定した骨太の方針2022においては、介護分野でのDXを含む技術革新を通じたサービスの効率化・質の向上を図るため、デジタルヘルスの活性化に向けた関連サービスの認証制度や評価指針による質の見える化やイノベーション等を進め、同時にデータヘルス改革に関する工程表にのっとりPHR(パーソナルヘルスレコード)の推進等改革を着実に実行する。と 記された。

業務の効率化はICTが必須となっている

国がICT化を進める理由は、出生率が年々低下していることが大きい。2021年は1.30まで、6年連続で低下した。結果、日本の労働人口は逆三角形を形成し、年々労働人口が減少している。外国人の研修生などに頼る事も限界がある。ICT化によって業務の効率化を進めるしか方法が見いだせないのが現状だ。令和4年5月25日財務省の財政制度等審議会の「歴史の転換点における財政運営」の提言でも、介護の質の低下を招くことなく、むしろ質の向上を図りながら、介護現場の業務負担軽減と人員配置の効率化を実現するには、ロボット・AI(人工知能)・ICT(情報通信技術)等の実用化の推進や、タスクシフティング、シニア人材の活用推進、文書量削減など組織マネジメント改革などの 業務効率化を進めていく必要がある。としている。

しかし、その弊害となるのが、介護事業者の7割近くが小規模事業者である事だ。小規模事業者は、収支比率が低く、ICT化等に伴う設備投資に耐えられないだろう。ICT、AI関連の補助金が設けられていると言っても、年間の予算が定められて居て、申請者の多くが受給できない状況が続いている。その為、骨太の方針2022では、介護サービスの生産性向上を図るため、タスク・シフティング(介護職が可能な認定特定行為の拡大など)や経営の大規模化・協働化を推進する。と記されたのだ。介護事業に於けるビジネスモデルがスケールメリットの追求にある事は周知の事実だ。規模の大きな事業所・施設や事業所の数が多い法人ほど平均収支率が高いなど、スケールメリットが働いている。

いずれにしても、介護保険制度が始まって、20年を経過した。コロナ禍の影響もあり、今までのビジネスモデルが通用しなくなっている。令和6年度介護保険制度改正も激変が予想される。そろそろ、本格的にICT化と事業規模の拡大策を検討する時期である。時代は変わり続けている。

 

以上がLIFEの活用問題とICT化に潜むセキュリティ対策の重要性となります。

ほのぼのNEXT

介護事業者さまの現場をサポートする「ほのぼのNEXT」は、事業所様の運用に合わせて機能を選んでご使用いただけます。
まずはお気軽にお問い合わせください。

記事一覧

ほのぼの新春セミナー2024「令和6年度介護保険制度改正の重要ポイント」 令和6(2024)年度 介護報酬改定・法改正 特設ページ NDSコラム

PAGE TOP