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コンサルタント小濱道博先生の「経営をサポートするナレッジコラム」

第14回【後編】2024制度改正審議のポイント

2022/10/13 カテゴリ: 介護保険法改正

前編こちら: 第14回【前編】2024制度改正審議のポイント

また居宅介護支援事業所の自己負担の導入も大きな論点となっている。この点については、7月10日の参院議員選挙の自民党の公約で、自己負担化は行わない旨が明記されている。また、8月5日の全国老人福祉施設協議会による「介護保険制度等の見直しに関する介護現場の要望について」において、「仮に自己負担を導入する場合は、加算の有無で費用に差が出ることがないよう1割負担ではなく定額制とすることも考えられる。」と、あたかも自己負担導入に賛成と受け取られる要望を記載して批判を受けた。老施協は、8月19日に該当部分を削除するとする訂正を余儀なくされた。

このような動きが出ている中で、審議終了までは予断を許さない状況が続いている。仮に、何らかの形で、自己負担化が実現した場合の影響としては、セルフプランの増加や、利用者からケアプランの内容についての要求が高まったり、クレームが増えると言った予想を耳にする。これは、厚生労働省の自己負担化の意図の一つでもあり、それによってケアマネジャーのスキルが上がることを期待している部分がある。

そして、確実に起こる影響として、毎月の請求書の発行と集金業務が増えることだ。この場合、確実に業務負担は増加する。その対応策としても、居宅介護支援事業所のICT化や事務員の配置は急務となる。仮に、この改正が導入されるとした場合、老施協の提言通り、一割負担ではなく定額制となり、3年間は500円、4年目から1000円の負担とする内容となるとみている。単に一割負担とした場合、特定事業所加算を算定する事業所が不利となる。これは、大規模化を進める厚生労働省の方向とは逆行する。果たして、社会保障審議会の結論は如何であろうか。

各地域における総合事業の在り方と通いの場

今回の介護保険法改定においては、訪問介護、通所介護の軽度者(要介護1,2該当者)の総合事業への移行が大きな論点として浮上している。

2018年から、予防訪問介護と予防通所介護が総合事業における第一号事業に移行された。その後、他の予防サービスを総合事業に移行する議論は無く、再び、訪問介護、通所介護についてのみ、軽度者の総合事業への移行が論点とされている。これについては、全サービスを対象とした場合、国民の理解を得ることに時間を要し、反発も想定される。訪問介護と通所介護については、予防サービスでの移行での実績がある事と、この2つのサービスだけで、介護給付の27%を占めており、十分な介護給付の削減効果が期待出来る事が理由であると推察している。

ただ、この論点が出たのは、今回が最初では無い。これまでの介護保険法改定審議においても議論がされている。ではなぜ、これまでの審議で実現していないか。それは、この論点を審議する前に、その受け皿である総合事業を整備すべきとの意見が審議会の委員の中で根強いことにある。特にサービスB(住民主体のサービス)の整備する自治体は2割に満たないという現状がある。

この状況で、全国一律で軽度者を総合事業に移行しても効果は薄く、介護難民が発生するリスクがあることが大きな理由である。そのため、令和3年度介護保険法改定において、要介護認定者も本人が希望し、自治体が認めることで、総合事業における第一号事業を要介護認定者が利用出来るとする制度が盛り込まれ、いつでも軽度者を総合事業に移行できるように下地が作られた。

さらに、「通いの場」の整備を強化し、そのためのボランテイアの獲得方法として、国の基金を使ったポイント制を導入すると言った、軽度者を総合事業に移行するための布石が打たれたのだ。しかし、そこでコロナ禍が起こったのである。その影響で、この3年間、全国的に通いの場の運営が立ち行かなくなっている。コロナの感染者が増える度に、休業を余儀なくされた通いの場が大部分であり、期待された通いの場の新設についても同様である。そのため、令和6年度介護保険法審議時点に於いても、この問題が解決されたとは言いがたく、再び、通いの場の推進策が論点となっている。このことから、令和6年度介護保険法改定において、軽度者が総合事業に移行される可能性は低いと考えているが、5年先、10年先という中長期で考えた場合、決して可能性が低いとは言えない。いや、近い将来に移行があるとの認識の元で介護事業計画を組むべきであろう。

今後は、介護保険部会の審議に於いて、2. 介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進、3. 給付と負担、4. その他の課題といった論点が審議され、再び、1. 地域包括ケアシステムの更なる深化・推進の二巡目の審議が行われる。そして、12月には結論が取りまとめられる。その結論だけではなく、その途中審議の内容にもアンテナを張ることで、次回以降の制度改正の方向や、来年の介護報酬改定の予測が可能となる。是非、今回の介護保険部会に注目して頂きたい。

以上が2024制度改正審議のポイントにおける記録の重要性とポイントとなります。

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