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介護サービス事業経営情報の提出義務化Q&A詳細解説
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2024/11/27 | カテゴリ: 介護保険法改正
介護サービス事業経営情報の提出義務化による提出開始は1月である。直前に迫った、提出に備えて、今回は厚生労働省から発出されているQ&Aの内容を解説していく。
なお、重要な項目に絞っての解説のため、厚労省通知でのQ&A番号とは異なるので留意されたい。
Q1:全ての介護サービス事業所施設が経営情報を報告するのか。
A:居宅療養管理指導、養護老人ホーム、介護予防事業、介護予防ケアマネジメント以外は提出が必要である。
ただし例外的に年間の収入が100万円以下の場合、もしくは自然災害に被災した場合には除外される。この場合、報告対象となる事業所の中で100万円を越えることが基準になるが、100万円以下の判断は、報告対象となるサービスのみで判断される。そのため、報告対象以外のサービスと合算して100万を越える場合でも、報告対象サービスが100万以下の場合は、報告は必要ない。
また、サービス付き高齢者住宅などはこの報告対象か否かの判断では、サービス付き高齢者住宅のうち特定施設入居者生活介護、また地域密着型特定施設入居者生活介護とみなされるものは、有料老人ホームとして報告対象になる。
Q2:調剤薬局を営んでいて、居宅療養管理指導を提供している場合は提出が必要か。
A:居宅療養管理指導は報告対象外であり、介護予防支援も報告対象外となる。
Q3:医療保険機関等のみなし指定事業者の場合
A:通所リハビリテーションの許認可を受ける場合には、医師、管理者、療法士、看護職員、介護職員などのスタッフを人員基準に従って配置が必要である。
しかし、病院や介護老人保健施設などが通所リハビリテーションの許認可を受ける場合、最低では療法士1名の配置のみで許認可を取得出来る。この特例措置をみなし指定と言う。
この、みなし指定で許認可を取得した医療機関等についても、今回の報告義務化の報告対象となる。ただし100万以下の場合の報告は不要です。100万超える場合は原則、介護サービスに係る部分についての報告は必要である。
また、医療分と分けて報告できない場合は合算した内容で報告が可能である。この場合には、その他の必要な事項での報告の中でこの医療における収入等については別記で出来る限り報告することとされた。
みなし指定となるサービス
老健、介護医療院 | (介護予防)訪問リハビリテーション (介護予防)通所リハビリテーション (介護予防)短期入所療養介護 |
---|---|
保険医療機関 | (介護予防)訪問看護 (介護予防)訪問リハビリテーション (介護予防)通所リハビリテーション (介護予防)居宅療養管理指導 ※注意1 (介護予防)短期入所療養介護 ※注意2 |
保険薬局 | (介護予防)居宅療養管理指導 |
※注意1 歯科が行う場合の実施可能なサービスは、(介護予防)居宅療養管理指導のみとなる。
※注意2 療養病床を有する病院又は診療所に限ります。なお、療養病床を有しない診療所で短期入所療養介護(介護予防含む)を行う場合は、指定申請を行う必要がある。
Q4:GビズIDのアカウント
A:電子申請で提出となるために、必ず事前に、GビズIDプレミアムのアカウント取得を行う必要がある。既にこのプライムのアカウントを取っている場合は、別にアカウントを取ることが出来ないために、既に持っているIDを使用する。
Q5:報告単位として、法人内のサービス種類ごとに分けて報告して良いか。
A:基本的には事業所・施設ごとの会計の区分に従って経理している場合は、事業所・施設ごとに会計の区分に従ったもので報告する。
また、会計の区分に従っていることを前提とした上で、事業所・施設単位での提出は難しいが、法人内の介護サービスの種類毎の報告できる場合には、 その種類ごとの報告でも良い。例えば、デイサービスを2箇所、特別養護老人ホームを3箇所運営している場合、 それぞれをグループとして括って、グループ合計額で介護サービス毎にまとめて提出することも可能である。
Q6:法人単位でまとめて報告する場合、都道府県単位で報告が必要なのか。
A:法人単位での報告の場合、全国事業所データを一括して取りまとめて報告する。
Q7:報告の方法
A:基本的には法人が利用している会計ソフトから CSV等での電子データを出力して提出する方法を推奨している。この場合は、法人が会計ソフトによる自計化している必要がある。
自計化してない小規模事業者の場合は、会計事務所が記帳代行をしている場合も多く、顧問先法人との役割分担を行う必要がある。会計事務所が行う場合には別料金設定となるであろう。
また会計ソフトがどこまで対応出来るかも問題である。全体的に会計ソフト側の対応が遅れており、対応しない会計ソフトも見受けられる。状況によっては、使用する会計ソフトの切り替えも検討が必要となる。
Q8:報告後にデータの誤りが判明した場合。
A:CSV等の電子データで提出した場合は、再度画面から修正したCSVを取り組むことで上書き修正出来る。また、画面で直接入力した場合は、これも画面から編集が可能である。いずれにしても、提供データに誤りが判明した場合は、後日修正が可能である。
Q9:勘定科目の数字がゼロの場合、入力を省略できるのか
A:報告求める勘定科目の一部は任意での報告になっている。勘定科目がゼロである場合、記載を省略すると任意項目についてゼロで登録したのか、報告なしなのか、が判明できないために、データの分析に支障が出る。このため、勘定科部の値がゼロの場合でも省略しないでゼロを記載する。
事例としては、みなし指定の場合の経費は、ほとんどの場合、人件費程度である。あとは家賃とか、水道光熱費などの按分を行うか等で、ゼロの部分が出て来る。また、利益調整の関係で減価償却を行っていない場合などが該当するであろう。
Q10:決算後に監査を行い、その承認のために、三月後の提出間に合わない場合
A:基本的には、決算月の三月後にまでにデータ提出が必要である。この会計監査の承認が遅れた等の場合で、三月後の提出には間に合わない場合など、やむを得ず3月以内の報告できない場合は、 監査終了後、速やかに提出して差し支えない。
この場合は事前に、所轄の都道府県の担当者に事前報告・相談しなければならない。それを怠ると、期日を指定して提出を求める命令処分が行われる可能性がある。
Q11:介護事業経営実態調査の項目との整合性
A:介護事業経営実態調査での報告項目である本部経費配分額などは、今回の報告対象になっていない。
個別の報告項目になっていない勘定科目については、「その他経費」の項目にまとめての報告となる。同じく、賃貸料、保険料などについても同様である。
今回の報告項目は、給与、業務委託費、減価償却費、水道光熱費であり、それ以外の勘定科目の金額は、その他経費に取り纏めて報告する。この振り分け作業も、会計ソフトが対応している場合は、自動処理で実行されて電子データ化される。手作業での集計の場合は、Excelなどを使って集計作業しなければならないために、手間が掛かる。
Q12:職種別人数についてはいつの時点で集計するのか。
A:報告すべき職種別人数は、主として従事している職種のいずれか一つを報告する。報告時点は、会計年度の初日の属する月に給与を支払った職員数である。
職種別人数の報告は会計年度初日に属する月となり、3月決算法人であれば前年の4月時点での人数を報告する。
Q13:令和6年度の報告については、令和5年度分のデータを報告するのか
A:令和6年度内に実施する報告は、令和6年3月31日から同年12月31日までに終了する決算分である。この期間に該当するデータを、来年1月から3月の期間内に提出する。
3月決算法人の場合は、令和6年3月締めデータを1月から3月に提出。9月決算法人の場合も、令和6年9月締めデータを1月から3月に提出。12月決算法人の場合も、令和6年12月締めデータを1月から3月に提出となる。
そのため、3月決算法人の場合は、令和6年3月締めデータを3月までに提出、令和7年3月締めデータを6月までに提出する。すなわち、令和7年は2度の提出が必要となる。
Q14:「廃止」となった事業所の経営情報の報告について
A:事業所の廃止を行った事業者も報告が必要である。
例えば、令和6年3月決算法人の事業所の報告は、令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に事業所を廃止した場合でも、会計年度の収入が100万円を超えていれば、報告対象となる。
なお、法人自体が廃業、閉鎖及び解散等をしている場合は、報告は不要である。
Q15:介護サービス事業所で、介護サービスと介護予防・日常生活支援 総合事業(以下「総合事業」という。)の両方を提供している場合の報告単位
A:総合事業は、報告の対象外であるが、総合事業と他の介護サービスを会計上で区分していない場合は、総合事業の部分を除外せずに報告することが可能である。
この場合、総合事業のデータが含まれていることを、別途システム上で入力が必要である。
Q16:介護サービス以外と医療・障害福祉サービスを提供している場合。
A:介護サービスとそれ以外の障害福祉サービス等を按分することで区分して提出が可能であれば、按分したデータを報告・登録する。
按分が難しい場合は、介護サービスとそれ以外の障害福祉サービス等を含んだデータを報告する。
その場合は介護サービス以外の内容が含まれていることを、システム上で入力する必要がある。
Q17:事業所Aと事業所Bが同一拠点に属している場合の報告。
A:原則として介護サービス事業所・施設単位で報告する。事業所・施設ごとの会計区分がされていない場合で、拠点単位で会計処理を行っている場合などのやむを得ない場合は、拠点単位での報告が可能である。
以上、「介護サービス事業者経営情報の報告等に関するQ&A」の発出について」事務連絡 令和6年8月20日 介護保険最新情報Vol.1325 令和6年8月20日
Q18:令和6年3月から令和6年12月までに会計年度が終了する場合は、令和7年3月31日までに報告する。事業年度が1月決算の事業所や、2月決算の事業所の報告期日は、報告が必要か。
A:1月決算および2月決算法人は、令和6年度内での報告は不要である。
会計年度終了後3ヶ月以内の報告が必要であるので、1月決算の場合は、令和7年1月末に締めた情報を、令和7年4月末までに報告する。
Q19:特定の収益又は費用の内容で、介護サービスと介護サービス以外に収益及び費用を分けられない場合の報告
A:報告は、介護サービスに係る事項のみを対象とすることが基本である。各収益及び費用の内容は、事業所において適切な方法で報告することになっている。
会計処理上、介護サービス(医療・障害福祉サービスを除く。)以外の部分と切分けを行うことがどうしても困難な事情がある場合は、個別に都道府県との相談が必要である。
Q20:「内部取引」にあたる金額が含まれる場合、「消去前」「消去後」のどちらの金額を計算するのか。
A:内部取引消去については、財務諸表の作成に関する各会計基準上の定めに従って実施する。 例えば、複数の事業所をひとまとめにした拠点区分の損益計算書等データを社会福祉法人会計基準の科目により報告する場合は、拠点区分を超えた内部取引額は計上して、拠点区分内での内部取引については、消去する。
以上、「介護サービス事業者経営情報の報告等に関する Q&A (Vol.2)」の発出について(事務連絡)介護保険最新情報Vol.1325 令和6年10月31日