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コンサルタント小濱道博先生の「経営をサポートするナレッジコラム」

介護業界動向 2022年度に向けての注目ポイント~前編~

2022/04/08 カテゴリ: BCP LIFE 介護保険法改正 実地指導

LIFEのフィードバック票の活用が重要に

LIFEのフィードバックについては、令和3年度は暫定版のままで終了となる。そんな状況で多くの介護施設が抱える問題は、担当職員のモチベーションの維持である。

LIFEの活用で、自分たちの提供する介護サービスをランクアップすると意気込んでいた職員の多くがここに来て疲弊しており、LIFEに対する不信感を増大させている。独立行政法人福祉医療機構の調査によると、「近いうちにLIFEの利用申請予定」までを含めると、介護老人保健施設が93.1%、通所リハビリテーションが91.0%、特別養護老人ホームが 88.2%、通所介護は、78.1%が利用すると回答している。

介護記録ソフトの活用は、看護小規模多機能型居宅介護が85.7%、介護老人保健施設が80.9%、特別養護老人ホームが77.3%と上位を占め、「今後導入を検討している」まで含めると、通所介護が 82.4%ともっとも高く、次いで特養が75.0%となった。

科学的介護情報提供体制加算については、「近いうちに算定予定」までを含むと、介護老人保健施設が84.4%、通所リハビリテーションが76.4%、特別養護老人ホームが 70.6%と上位を占めている。

そして、この1年間のデータの積み上げをもって、いよいよ令和4年度から本来の形で提供が開始される。令和3年度介護報酬改定では蚊帳の外であった、訪問サービスと居宅介護支援事業所については、LIFEを活用した介護の質の向上に資するPDCAサイクルの推進についてのモデル調査が令和3年10月から令和4年1月に実施された。

具体的な活用事例の検討を行い、LIFE導入の課題について検証である。実地については、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援事業所のサービスごとに10事業所ほどが対象となった。訪問サービスでは、LIFEからフィードバック票を提供して、ケアの質の向上に向けた取り組みを検証する。居宅介護支援では、LIFEに対応している通所介護のフィードバックをケアプランの見直しに活かす取り組みをテストして課題の洗い出しを図るとした。

LIFEに関するアンケート、ヒヤリング結果

令和3年10月から12月に掛けて、令和3年6月にLIFE関連請求の実績がある事業所等に対して、LIFEに関するアンケート、ヒヤリングが実施された。LIFE登録済み事業所は、2170件が回収され、回収率は43.5%であった。

LIFEの活用がケアの一連の活動において役立った点について、「LIFEに利用者のデータを入力し管理することで、利用者の状態や課題を把握しやすくなった」が34.8%と最も高かった。また、LIFEの活用による利用者アセスメントの方法・頻度の統一も、事業所・施設にとって役に立ったという回答が比較的多かった。この点については、日常の業務の中で流れ作業的に行われていた部分が、改めてLIFE作業を挟むことで、改めて利用者に向き合うことが出来た点が大きいと思われる。

LIFEの活用について、既存の委員会で議論した事業所・施設が18.6%、委員会等の組織体以外で議論した事業所・施設が16.9% だった。議論した内容は、利用者の状態像の変化が53.7%、状態像を踏まえたケア内容・実施方法等の検討が49.8%であった。

令和3年度介護報酬改正において創設されたLIFE関連加算の算定要件は、フィードバック票を多職種で共有し、検討する事。その結果、必要であれば計画書などに反映させるPDCAサイクルを廻し続けることである。そのため、事業所内に、LIFE委員会を設置して、その議事録を記録として保管する形が多い。今回の結果でも、既存の委員会およびLIFE委員会で議論したとするケースが35.5%である。現時点で、フィードバック票が暫定版である事を勘案すると、かなり高い比率だと言える。また、暫定版の活用としては、LIFEから提供される全体数値を、利用者に当てはめて比較する程度が限界である。暫定版の段階から、このような取組を実施してる事業所は、本格的なフィードバック票が提供された時点から、一歩先を走ることが出来るだろう。

LIFE導入前後で、「評価基準に基づき評価(ADL評価、褥瘡の評価等)」の実施割合が、68.0%から82.9%に増加した。ほとんどのアセスメント項目において、LIFE導入後に実施割合が増加した。その中でも、ADL(Barthel Index)(65.4%→89.9%)、行動・心理症状(DBD13)(25.9%→63.3%) 、意欲(Vitality Index)(31.7%→71.0%)の実施割合の増加が大きかった。この点についても、今までは、リハビリテーション機能訓練の結果としてのADLやIADLの点数を中心に分析検討してきた事業所が、総合的な要因を元に分析する形に変貌していることが分かる。
DBD13やVitality Indexは、科学的介護推進体制加算の要件なので、ここで始めて触れた事業者も多かったであろう。この他にも、栄養や口腔ケア、排泄や排尿などといった項目への関心が一気に高まっている。これは全て、LIFEによって実現された意識改革である。

LIFE未登録事業所における今後のLIFE活用意向として「活用したい(アカウント申請済み)」「活用したい(アカウント申請予定)」の合計で67.5%であった。

やはり、未導入事業所も関心が高く、フィードバック票が本来の形の提供が始まると、更に拡大すると考える。今後は、登録事業所と、未登録事業所の格差が大きく拡大することは間違いない。未登録事業所が危機感を持つべきだ。

出典:第24回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会資料

介護職員等ベースアップ等支援加算

2月28日の介護給付費分科会において、10月からの新たな処遇改善加算である「介護職員等ベースアップ等支援加算」が答申された。

基本的な算定要件は、2月から始まった介護職員処遇改善支援補助金と同じである。ただ、令和3年2月より介護職員処遇改善加算区分Ⅰ−Ⅲの何れかを算定していること。の要件が外れるため、この要件が満たせずに補助金の申請が出来ない事業者も算定が可能である。また、補助金同様に法人一括での処理が可能であるが、併設の場合であっても、補助金の対象外サービス、すなわち居宅介護支援などのケアマネジャーへの支給は出来ない。これによって、処遇改善加算関連は3本立てとなり、事業者側に事務負担が重たくのし掛かることは否めない。

今年の10月に一本化などで混乱させるより、補助金の仕組みをそのまま継続することが負担軽減となるとの判断が働いたようだ。しかし、来年は介護給付費分科会において令和6年度介護報酬改定審議が行われる。その審議に於いて、加算の統合や対象サービスの拡大など、今後の在り方が再び検討されることとなる。

出典:第208回社会保障審議会介護給付費分科会資料

 

後編こちら:介護業界動向 2022年度に向けての注目ポイント~後編~

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