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コンサルタント小濱道博先生の「経営をサポートするナレッジコラム」

第18回【前編】2024年介護保険法改正の方向②

2023/02/06 カテゴリ: 介護保険法改正

施設関連の基盤の整備

施設関連の基盤の整備におけるテーマを見ていく。特別養護老人ホームにおいては、待機者が年々減少しており、特に地方においては、空き部屋が増えていることが顕著に見て取れる。更に、地方では人手不足が限界の域に達しており、100床の特養でも人が確保出来ないために、定員の半分50床で運営しているという施設が増えている。

現在、特養は要介護3以上が入居できる施設の位置づけである。要介護1および2の方は認知症が進んでいるなどの理由があった場合の特例入所という特例措置でのみ入所が可能だ。しかし、特例入所を認めていない地域が存在するなど、その適用にばらつきが出ているという指摘がある。

2015年の介護保険制度改正において特養は要介護3以上に限定された。その前年にあたる 2014年において、特養の待機者が50万人を超えた。そのため、特養については 本当に必要な者に入所を限定するという意図から、要介護3以上に限定されたのだ。しかし、現在の待機者は25万人を切っている。実質的に待機者は2014年の半分以下になっている。さらに待機者が25万人と言っても、1人の希望者が1箇所の特養だけ申し込んでいるわけではない。複数の特養に申し込んでいて、空いた施設に入るという対応をしている。待機者が25万人と言っても、実際に1人平均で3カ所の施設に入居希望の申込みを行っていた場合、実質的に10万人を切っていることになる。そのため、当初の目的であった、待機者が多いことを理由として、中度者以上に入居制限を行う必要がなくなってきている。特例入所の入居基準の緩和が現実的であるが、要介護3の入居制限の撤廃も一案として検討される可能性も捨て切れない。この点について、今年後半から始まる令和6年度介護報酬改定審議の中で議論を進められていくことになる。ただし、この点については、都市部と地方で温度差が大きく、地方を拠点とする特養にその要望が多いのが実情でもある。

社会保障審議会 介護保険部会(第105回)   令和4年12月19日 資料3
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001025602.pdf

ケアマネジメント

ケアマネジメントに関する部分を見ていく。ケアマネジャー資格の更新講習などについては、Eラーニングなどによるオンライン化を促進する方向が強化される。今後は、主任ケアマネ講習や更新講習でなどもオンライン受講の対象となっていく。また、令和6年度からは居宅介護支援についても、LIFEへの位置づけがスタートする。そのため、ケアマネジメントについてもLIFEの活用というキーワードがクローズアップされてくる。

そのLIFEであるが、いよいよフィードバック票の本格的な提供が始まるだろう。昨年12月13日に、グラフ化されたフィードバックデータが再び提供された。今年度は、いよいよ、加算別、利用者別フィードバック票データが提供されていく。現在は、そのサンプルデータが公開されている。フィードバック票については、ここ1年半の間、まったく使い物にならないというのが定説であった。介護保険部会の意見書に於いては、今後フィードバックを改善していくという意見が謳われている。また、事業所施設の入力負担の軽減ということで、更に入力データを簡素化するという方向が出ている。LIFEは令和6年から 新システムに移行し、次のステップにバージョンアップする予定だ。その段階で、訪問サービスと居宅介護支援もLIFEに位置づけられる予定だ。さらに医療のデータベースとの連動も始まっていく。

ケアプランの作成におけるAIの活用も今後の重要なポイントのひとつだ。ケアプラン作成において、AIを活用する方向をさらに促進されるだろう。現時点で、(株)CDIのシステムであるSOINが先行して実用化が進んでいる。NDソフトウェアのほのぼのシステムと連携しているために、すでに利用しているケアマネジャーも多いのではないか。ケアプランにAIを活用するメリットは、そのケアプランの位置づけのエビデンスが提供されることにある。一般的にケアプランは、担当ケアマネジャーの知識や経験に依存する部分が多い。その位置づけの根拠が示されることは、ケアマネジャーの自信に繋がっていく。しかし、それでもまだ発展途上だという。このシステムが、今後、どこまで進化するのか楽しみである。そして、ここにもLIFEが絡んでくることになるだろう。すでにSOINには、LIFEデータを取り込める機能がある。厚生労働省主導のICT化はさらに加速していく。来年度からは、ケアプランデータ連携システムが始まる。また、ケアマネジャーの資格者証などについてはマイナンバーカードに位置づけていくという方向も示された。

社会保障審議会 介護保険部会(第105回)   令和4年12月19日 参考資料3
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001025605.pdf

居宅介護支援の予防ケアプラン直接契約

地域包括支援センターの役割を分析した時、令和3年度からスタートした重層的支援体制整備事業による8050問題の相談窓口など、総合相談支援機能に特に力を入れるべきとされた。そうした時に、地域包括支援センターの業務の中で大きな負担になっているのが予防ケアプランである。現在において、予防ケアプランは多くの場合、地域包括で受注して地域の居宅介護支援事業所に外部委託しているのが現状だ。今回、介護予防ケアプランの許認可を居宅介護支援事業所に指定を拡大される。居宅介護支援事業所が、直接に予防ケアプランを受注できるのだ。また、予防ケアマネジメントAについては、利用者の状態が大きな変化がない場合に限って簡素化を可能とするということで負担を軽減するという方向が出されている。ただ、実際の手続や、すでに地域包括支援センターが契約している既存の予防ケアプランをどうするかなどの実務的な問題は、今後の通知やQ&Aを待つことになる。

社会保障審議会 介護保険部会(第105回)   令和4年12月19日 参考資料3
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001025605.pdf

 

後編こちら:第15回【後編】作成が急務の業務継続計画BCPと作成後の訓練の実施

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